恋口の切りかた

ギョロッとした鋭い目玉が、ふと与一の位置で止まった。

「オマエじゃあないんだろうけどな──虎の暗夜霧夜か。久しぶりだな」

「平八サン、こんな形で再会するとは残念だねェ」

この二人は、与一が一味にいた頃の顔見知り同士ということらしかった。

「先代の頭への恩も忘れて、俺たちとやり合うか」

「言うねえ。先に道理を無視したのは闇鴉だろうが。
白輝血の一件で、この町の支配に手ェ出して来たのはそっちだぜ。鵺はもうあんたらには手を貸さねェよ」

もっとも──と、与一は俺のほうを見て、

「俺がここにいるのは、鵺とは関係ねえ個人的な理由だけどな」

顔を斜めに横切る凶悪な傷の化粧をゆがめて微笑んだ。

「そうかい、なら仲間だった頃の義理立てをする必要もねえな」

と隻腕の盗賊が鼻を鳴らして、

「蜃蛟の伝九郎を斬った人間なら、俺だけど?」

隼人がヘラヘラしたいつもの調子で名乗り出て、行逢神の平八は目を丸くした。

「オマエがァ?」

平八はしばらくまじまじと隼人に視線を注いだ後、ニカッと笑った。

「ホォオ、だったらぜひとも立ち合いたいねェ。
あの伝九郎を斬った男がいかほどの腕の持ち主か」