恋口の切りかた

「何が可笑しい!」

声を荒げた俺に、

「弟! こいつは傑作だ!」

行逢神の平八は、ゲラゲラと腹を抱えて笑い転げながら、

「結城家の養子になった羅刹丸のことか!
誰が誰の弟だって? あれはお頭の弟だよ! 結城円士郎、オマエの弟じゃない」

と言った。

「あいつはもう盗賊じゃねェよ」

俺は大男をにらみつけて、

「冬馬と夜叉之助はどこだ?」

静かにその問いをくり返した。

ククク……と平八は肩を震わせて笑い、

「その二人なら、屋敷の奥だ。
十一年ぶりの再会だ。兄弟で積もる話でもあるんだろうさ」

あごで屋敷の中を示してそう答えた。


「まあ結城円士郎はお頭に譲ってやるが──」


平八は禿頭をめぐらせて、帯刀や隼人、与一たちをながめた。


「蜃蛟の伝九郎を斬ったってェ侍は、どいつだ?」