恋口の切りかた

こいつが──


俺は、帯刀をもしのぐ信じがたい剛剣を振るった剣客を見つめる。

怪力に物を言わせているだけではなく、
鬼之介の鉄砲の弾道をそらした動きからは、優れた技術もあわせ持っていることがうかがい知れた。


「結城円士郎ってのは、オマエか?」

隻腕の入道が聞いてきて、

「そうだ」

俺は答えた。


俺を見る男の目つきが変わった。

「この腕はなァ」

片腕の男は凄絶(せいぜつ)な表情で、
大太刀を握ったままの左手で、着物の袖がだらりと垂れ下がるばかりの右肩をばんばんと叩いた。

「十一年前、オマエの親父の結城晴蔵に切り落とされたんだ」

「へえ。あの親父とやり合って、よく命があったな」

気の弱い者なら視線だけで射殺せそうなその眼光を、俺は冷ややかに見つめ返してあざ笑った。

「命からがら逃げ出したってところか。
せっかく拾ったその命を、こうして再び手放しに来るとはご苦労なこった」

「小僧……!」

入道頭に血管が浮き上がって、

「あの男の息子ならこの俺が叩き殺してやりてえが……残念ながら、オマエはお頭の獲物だそうだ」

押し殺した声がそう言った。

「お頭ってのは──夜叉之助か!」

今度は俺の頭に血が上る。

「あいつはどこにいる!? 冬馬はどうした!?」

「トウマァ?」

「俺の弟だ!」

俺が言うと、隻腕の大男は巨体を揺すって笑い出した。