恋口の切りかた

おそらくはそれが、武闘派の一派だという──


「一味の中でも、いそぎ働きをする一派の者か」


上段から打ち下ろした刀で盗賊を文字通り一刀両断にしていた帯刀が、刀を一振りして血を飛ばしながら言った。

凄まじい剛剣を目にして戦意を喪失した盗賊たちに、帯刀が峰打ちを食らわせて昏倒させる。


すると、


「ひょオ、凄ェ使い手がいるな。一刀流の達人か」

そんな声がして、

「でも、厄介なのはこっちだな」

ぎらつく刃が、鬼之介に向かって横手から叩きつけられる。


およそ六尺はあろうかという大太刀の一撃だった。


「鬼之介!」

俺は思わず叫んで、


まともに受ければひとたまりもないその刃を、鬼之介は手にした鉄砲の銃身を器用に使って、横へと受け流すように打ち払い、


間髪入れずに鬼之介の指が引き金を引く──


しかし、

その相手は銃身にふれていた大太刀で鉄砲をはね上げて、


狙いがそれ、放たれた弾は屋敷の屋根に当たって瓦を粉砕した。


「ホ。侍のくせに、とんでもねえ飛び道具作ってやがる」


鬼之介の前に立ちふさがってそう言ったのは、入道のような禿頭(とくとう)の大男だった。

まるで見せつけるかのように、その禿頭には三本足のカラスの彫り物がある。


巨大な大太刀を軽々と片手で振り回し、肩の上にかつぎ上げるこの怪力の持ち主には右腕がなかった。


「てめえは──」

隻腕(せきわん)の大男をにらみつけた俺に、獰猛(どうもう)な笑みを向けて、


「行逢神の平八」

と、そいつは名乗った。