【剣】
円士郎が去っていった別宅の門扉を、私は為す術もなく見つめていた。
「留玖様、どうかお許しを」
彼が残した悲しい微笑みと、
最後まで距離を保ったままの言葉遣いとに、
打ちのめされた気分だった。
エンはもう、後ろを振り返る気はないんだ。
私はエンの後ろに、置き去りにされたんだ。
あんな風に、まっすぐ前を向いて走っていって……
だけど彼が目指しているものは、武士としての死だ。
どうして……?
どうしてあなたは、
私には理解のできないものに向かっていくの……?
わからないよ、エン。
思い知らされる。
私はやっぱり農民の子で、
円士郎は生まれながらの武士なのだと。



