恋口の切りかた

「責任は全て私一人が負います。
彼をかくまった神崎帯刀共々、お咎めなきよう願います」


これが、武士として俺がつけるべきけじめだ。



「これよりあの賊をこの刀にて討ち果たし、

雪辱を遂げた後、同じ刃にて切腹して果てる覚悟にございますれば

我が父と結城家に対しても、願わくはどうか寛大な御処分を!」



左馬允が目を見張って、

「うむ。そのお覚悟、天晴れじゃ」と菊田が頷いた。


「隼人! 帯刀!」

俺は二人にも声をかけて、彼らが硬い表情で頷いた。


ただちにきびすを返して、彼らを連れて走り出そうとして──


袖を、細い腕がつかんだ。


「や……」


続けて背中から届いた弱々しい少女の声に、思わず動きが止まる。


「エン……いやだよ……」


震える声は、一瞬前まで固めていた俺の覚悟と決意を揺さぶって


留玖──


俺は、こみ上げる感情を全て押し殺して、彼女を振り返った。


そこに立っていたのは、目に涙をいっぱいに浮かべた少女で──



「留玖様、どうかお許しを」



最後に愛しいその姿を目に焼きつけて、

俺は袖をつかむ手を振り払い、隼人たちと一緒に別宅の敷地を後にした。