恋口の切りかた

彼女との出会いが今の俺を作った。

青文や宗助、亜鳥、鬼之介、隼人、帯刀、与一……

彼らとの関係も、留玖と出会い、共に成長してきた時間がなければきっと、
今のようなものにはなっていなかっただろう。


「あいつと出会う前の俺を、あんたは知らねえけどよ」


俺は青文に向かって笑った。


「親父の言うとおり、もしも俺が選ばれてたら、国を滅ぼすような酷ェ主君になってたと思うぜ」


留玖が、俺を変えた。


己を省みることも、

他者を思いやることも、


彼女との日々の中で、俺は学んだ。


誰かを大切に思う心も、

愛しいと思う心も──。



しばらく俺を眺めていた青文も、ふっと笑った。

「そうかい」

彼はいつもの砕けた口調になって、

「なら、やっぱり十一年前に今の殿を選んだ俺たちの選択は、間違ってなかったってことだな」

静かに言って目を閉じた。

「ああ。俺は彼女と出会えた己の運命を、嘆くことも呪うこともしねェよ」

俺は愛しい少女の笑顔を脳裏に描いて、きっぱりと言いきって──





そして今、



殿様の別宅の敷地内で、うろたえる男を前に、

俺はそいつの誤算が何だったのかを知った。