恋口の切りかた

どういう意味かと考えて──

俺は、女のように華奢な左馬允のあの容姿を思い浮かべた。


「そうか……! 菊田の息子はひょっとして昔から……」

「ええ」

青文は頷いた。

「十三の男子にしては小柄な体躯と幼い顔立ちは、九つと偽ることが可能だった」


これまで目にしていた左馬允の外見までが、十一年前にこの国で行われた隠蔽工作に関係していたとは──

何気なく目にしていた事柄に意味があり、この国の秘密が隠されていたことに俺は改めて驚かされた。


「加えて、品行方正で人格的にも問題なし。
家臣から猛反対されたどなたかとは違って、この上ない適任だと私もすぐに納得しました」

青文は駄目押しで俺をバッサリ斬ってくれてから、


「もっとも──望み、望まれて主君となったわけではないお立場に、左馬允様が苦しみ続けることになるとは、私も読み切れませんでした」

整った金の眉を少しだけ歪めた。

「わけもわからぬまま身代わりにされて……そのお優しく繊細な気質故に、殿にはつらい思いを強いることになりました」


さすがに青文は、俺が左馬允から打ち明けられた彼の胸中も理解していたらしい。


「一概に、人格者であるから一国の主君に適しているとも言えないということだったのかもしれません。

ま、あれですな。
重圧に耐えるには、それなりに図太さも必要ということでしょうな。

極端すぎるのは論外と思いますが」


青文は緑色の瞳に俺を映して、やはりどこか笑っているような表情でそう言った。