恋口の切りかた

「私は牢から出され──

当時の城代家老であった父を通じて、すぐさま口封じをするように指示した」


口封じ……


青文の口に上った穏やかではない響きに、俺と冬馬は顔を見合わせて、


「この国を改易から救う策より何より、
当時の儂や菊田殿、藤岡殿が──伊羽青文という子供の才能を認めた理由がこれだ」

と、親父殿は言った。


「十五の子供が、表舞台に現れて真っ先に──殿の警護をしていた者と、殿を殺した賊、事件の目撃者の全てを速やかにこの世から消すようにと平然と指示したのだ。

普通の子供には──できん真似だ」


それは、すでに盗賊の首領として一味を率いていた子供だからこその判断だったのだろうが……。

親父殿たちの驚きは俺にも想像できる。


「私が行おうとすることに必要だったのは──人の口に立てられぬ戸を立てること」


操り屋を営む城代家老はそう言って、


「そのためには、殿が死んだという事実を知る者を最少に抑えることが一番重要でしたから」


この年上の友人は何でもないことのように説明した。