恋口の切りかた

「ま……待てよ……!」


俺はからからになった喉から掠れた声を出して、


「殿様が──別人!?

十一年前に殺されたのが、菊田のオッサンの子供じゃなくて、当時の幼い左馬允だっていうのか?」


「左様」


「でも、菊田のオッサンには今、実際に嫡男なんていねえし、
墓地で墓を見てたってことは、子供を失ってるんじゃ──」


言いかけて、俺は悟った。


「じゃあ、つまり──俺たちの前にいるあの左馬允は……」


「そうです」


青文は頷いた。


「彼こそが、十一年前に死んだとされている菊田水右衛門の御子息なのですよ」