「確かに、儂は十一年前に選択を誤ったかとも思うた。
だが──蟄居中にも関わらずこうしてかけつけた伊羽殿や、謀反の嫌疑をかけられてなお殿に味方し、忠義を貫こうとする円士郎殿のような家臣がいるということは──あなたもまた、紛れもなく──主君たる器だったということであろ」
それに……と、
菊田水右衛門が続けた言葉は、
殿のそばにいた私や円士郎にだけかろうじて聞きとれるものだった。
「いかに不出来であろうと、実の息子がかわいくない親はおらん」
だが──蟄居中にも関わらずこうしてかけつけた伊羽殿や、謀反の嫌疑をかけられてなお殿に味方し、忠義を貫こうとする円士郎殿のような家臣がいるということは──あなたもまた、紛れもなく──主君たる器だったということであろ」
それに……と、
菊田水右衛門が続けた言葉は、
殿のそばにいた私や円士郎にだけかろうじて聞きとれるものだった。
「いかに不出来であろうと、実の息子がかわいくない親はおらん」



