恋口の切りかた

「えっ……?」


与一さん……!?


私は目を見張って、


円士郎の呟きが届いたのか、一瞬だけ──火傷だらけの御家老がこちらに視線を向けて目配せした。


そうか。

たった一人だけ、一国の家老すら演じることのできる知り合いがいるのだ。


男どころか女にまで七変化する、裏の世界の「役者」ならば、


変装の達人である「狸の与一」であれば──




可能だ。




彼が何人もの架空の別人に化けた姿ばかりを見てきたけれど、

だったら「実在する他人になりすます」変装だって有り得るんだ……。