恋口の切りかた

「な──!?」


俺は言葉を失って、長年一緒に暮らしてきた義弟をまじまじと眺めた。



清十郎に化けた夜叉之助の右胸にあった八咫烏の彫り物と対照的な、

左胸の位置に残る火傷が目についた。



「この胸の火傷のあとは幼き日、一味の証であるカラスの入れ墨を自らの手で潰したもの」



冬馬は握りしめた拳を膝の上に戻して、震える声を絞り出すようにして言った。



「私は、大河余左右衛門様の子どころか──武家の子ですらございません。

卑しき賊を父に持つ、下賤の生まれなのです」



冬馬が──盗賊の子──


俺の脳味噌は完全に停止して、俺はぼう然と冬馬の告白を聞くことしかできなかった。



「晴蔵様は私の生まれを隠し、大河家からの養子として──結城家に迎え入れ、今日まであなたの弟として、分け隔てることなく育ててくださったのです」