恋口の切りかた

一瞬、俺は冬馬が何を言ったのか理解できなかった。



「ま……待てよ……」


血の繋がった実の兄──だと?


だって、あいつは──
清十郎の正体は──


「あの男は、盗賊の首領なんだぞ!?」


俺は大声を出した。


「冬馬、お前は──大河家からの養子で──大河余左衛門の実子だろうが!」


「いいえ」と、

冬馬はうつむき、膝の上で両手を握りしめて言った。


「海野清十郎と名乗っていた男の正体、兄上もご存じだったのですね」


冬馬はそう言って、

自分の着物の襟に手を掛け、大きく前を開いて左胸を見せた。


蝋燭の灯りが、そこに残る火傷のあとを照らした。



「私の本当の名は──羅刹丸。

十一年前、この国で結城晴蔵様に殺された──闇鴉の六郎太という盗賊の子です」