恋口の切りかた

あっはっは、と城代家老はおどけたように笑い声を上げて、ぺしりと覆面の上から額を打った。


「隠してんのかよッ!」


俺は思わず立ち上がってわめいて──


「いくら相手が切腹の覚悟を固めていようと、俺の一存じゃァ話せないこともあるってこった」

と、青文は打って変わった凄みのある口調で言った。


「ツジツマは合ってンだろうが。ここらで手を打っとかねェかい?」

「てめェ、ふざけんじゃねえぞ──!」


俺も引かずに覆面の奥の双眸を睨み据えて、


根負けしたように息を吐き出したのは青文のほうだった。


「昨夜のうちに、晴蔵様には円士郎様の所在を内密の書状で知らせておいた」

青文はそう言って、懐から何やら文を取り出し、

「そうしたら、円士郎様と話がしたいと返事が来た」

「親父からか?」

「ああ。どうしてもまだ知りたいンなら──晴蔵様も交えて、にしようじゃねェかい」

城代家老はそう言って、何を思っているのか──深い深い溜息を吐き出した。


「それなら俺も、死にゆこうとする御仁に、手向けとして包み隠さず話してやるよ」