恋口の切りかた

あってはならない失態?


俺は首を捻って──


「やはり、秋山は知りすぎたな」


青文はぞっとするような声を出した。


「────!?」


俺は思わず、目の前の男の顔を見上げて──覆面に隠されてその表情は見えなかった。


青文はその見えない表情で、


「上級武士の身内が、たかだか盗賊ふぜいに殺された」


そんなことを言った。


「よりによって──先法御三家の嫡男がな」


俺は大きく目を見開いた。


「御三家の子供が──?」


どこかで聞いた。

十一年前に死んだ子供の話──


記憶を探る。


気怠そうな、遠浅の絶望を湛えた瞳が蘇った。


あれは、


──そうだ。


去年の夏、墓地で菊田水右衛門が……



「菊田殿の──当時、数えで十四だった御子息だ」

と、俺の想像を裏づけるように、青文が言った。