恋口の切りかた

それから、


左馬允や藤岡、親父殿が立ち去っていくのを

麻痺したような頭で見送って、


「この後は、切腹までご自宅で待機なされよ。
神崎、円士郎殿を屋敷までお連れしろ」

部屋に残った清十郎がそう言った。


俺はのろのろと清十郎の視線の先を振り返った。


「は」

と、離れた場所にかしこまって座った神崎帯刀は、短く返答して頭を下げた。


俺の後ろから清十郎が、

「お前の兄に切腹を命じた結城晴蔵は、己の息子に自ら切腹を言い渡したぞ。
これでお前も胸のすく思いだろう」

冷笑混じりの声で帯刀にそう語って、



「てめえ……」

俺は未だに頭の中をかき回している疑念を抱えて、家老の座にいる男に視線を戻した。

「なんで……?」

まじまじとその顔を見つめて呟いた俺に、清十郎は無言でニィッと唇を歪めた。



わからなかった。

どうして「あんなモノ」があったのか……



もつれた思考のまま男の顔を眺めて──



帯刀に連れられて、部屋を後にして、



くくく……ははは……あっははははは!



長い廊下を歩いている時、背後からそんな清十郎の哄笑が届いた気がした。