恋口の切りかた

「円士郎、何か申せ」

左馬允が青い顔で俺を見つめた。

「父の言う通り、脇差しを紛失した責は確かにあります。
ですが! 私は断じてやっておりません!」

俺は必死に訴えた。

「そもそも私に、殿のお命を狙う理由などあるはずもない……!」


「それはどうですかなァ?」

やはり冷笑を浮かべたままで言ったのは清十郎だった。

「あの者をここへ」

清十郎は控えの者にそう命じて、


──あの者?


眉をひそめる俺の前に現れたのは、
いつか左馬允の稽古相手のために城に呼ばれた俺を、稽古場へと連れて行った案内役の侍だった。

「この者の申すところによると、円士郎様は謀反をほのめかす発言をしていたらしいですな」

「な──」

ぽかんと口を開ける俺をチラと見て、

「は、はい。確かに以前、円士郎様が菊田様に向かってそのようなお話をなさっているのを耳に致しました」

案内役の侍がそう言い、俺は今度こそ絶句した。


この侍が聞いている前で菊田水右衛門とした会話の内容を思い出す。


馬鹿な──

あの時、謀反を疑われるような言葉を口にしていたのは俺ではなく、菊田のオッサンのほうだ。


思ってから、気づく。


そうだ、菊田もこいつらとグルだ。


あの会話すらも──罠だったというのか?


愕然とする俺に向かって、

清十郎はこれ見よがしに唇の端を吊り上げた。


「謀反の理由ならあるでしょう、円士郎様」

「な……なに?」

「おつるぎ様ですよ」