恋口の切りかた

このままだと──俺はどうなる?

わかりきった己の末路に、どっと全身から汗が噴き出した。


「この脇差しは確かに私のものに相異ありません。ですが──」

自分でも声が上擦るのを感じながら、それでも急いで俺は抵抗を試みてみた。

「これは昨年の秋に、紛失していたもの。
昨晩、私の手元にあるはずのないものです」

この海野清十郎が俺から奪ったのに違いない、とできることならば指を突きつけて言ってやりたかったが、

この場でそんな妄言めいた発言をすることが、自分の立場をより一層悪くするだけだと火を見るよりも明らかだったので、かろうじて抑えた。

そんな俺に、

「は、苦しい言い逃れですな。
もう少しマシな言い訳を考えてはいかがか?」

清十郎が予想通り小馬鹿にしたように鼻を鳴らして、

「仮に、円士郎。お前の言うことが真実だったとして──」

親父殿が重苦しい調子で口を開いた。

「それは貴様の脇差しが、殿のお命を狙った賊に使われたということだ。

昨年の秋だと? そんな話は儂も聞いておらんぞ。

貴様、武士の魂とも言うべき刀をなくしたばかりか、
その事実を隠匿し、
紛失した己の刀でもって主を狙われるとは──

貴様自身が主君に刃を突きつけたことと等しいと知れ!」


まったく、親父殿の言うとおりだった。


脇差しとは言え、堀に刀を落とした。

それを放置したという事実だけで──武士として許されぬ失態だ。


どうしてあの時、清十郎に責任をとって探させようなどと考えた?

何故すぐに堀に潜って、自分で回収しなかった!?


俺は奥歯を噛みしめる。