恋口の切りかた

「晴蔵様にもご確認していただきました。円士郎殿のものに間違いないと」

淡々と言う清十郎の声が、
どこか非現実的に、遠く聞こえて、

「確かに」

親父殿が厳しい顔つきのままで頷いた。

「これは儂がこの愚息に元服の折、授けたものに間違いない」

「晴蔵様もこう仰っていますが?」

しれっと清十郎は言って、「円士郎殿のものですね?」とわざとらしい口調で俺に念を押した。


脇差しを堀に落とされた時に、この男と交わした会話の記憶が蘇った。


「堀に落としやがって──俺の脇差し、どうしてくれるんだ?」

「ああ──家来に探させて、いずれお返ししよう」

「その言葉、忘れんなよ?」

「ご心配なく」


そう言って笑ったあの日と同じように、

清十郎は三日月の形に目と口を歪めて、ぞっとするような笑みを作った。




「確かにお返し致しましたよ」