恋口の切りかた


 【円】

城に着くとすぐ、隼人は大目付の待つ詮議の間へ向かうようにと告げられたが、俺は隼人とは別の間に通された。

そこで待ちかまえていたのは、蒼白になっている左馬允と、
厳しい顔をした親父殿、
家老の藤岡、

そして、
薄笑いを浮かべた海野清十郎だった。


「円士郎殿には、殿直々に話を聞きたいとのことでな」

藤岡は、綺麗に髭を剃った顎をつるりと撫でて、

「さて、円士郎殿。殿の御前で何か申し開きはあるかの?」

などと言ってきた。


とにかく、こちらには疚しいことは何もない。

「何のことか……私にはどうしてここに呼ばれたのか、全く身に覚えがございませんが」

俺は開き直って、堂々としていることにした。


すると藤岡と海野清十郎が目配せをして、

「ほほう、ではこれに見覚えは?」

そんな藤岡の言葉とともに俺の前に置かれたものを見て、すうっと背中が冷えた。


「これは──」


脇差しだった。


それも──


「昨晩、殿のお命を狙った曲者が落としていったものです」


清十郎がそう言って、
冷笑を浮かべたその顔を、俺は弾かれたように睨みつけた。


「てめえ──ッ!」