恋口の切りかた

「るるるるるるき……!?」


俺ってば今、フルチ……──すっぱだかだぞ!?

とか思いつつ振り向いて、そこにあるのは湯殿の壁。


──あれ? 誰もいねえ?


「レンちゃん……」


声がするのは壁の向こうだった。

って、そっちは外。


「留玖、お前外にいるのか? 雨降ってんだろ。かぜ引くぞ」

「うん……母上から逃げて来ちゃった……」

「…………」


めずらしいな。

俺じゃあるまいし、

留玖はうちに来てからも一度もワガママなど言ったことがなくて、
「母上から逃げる」なんて初めてのことじゃないだろうか。


そんなに──、

「女の着物着るのがいやなのか?」


俺の問いには、ザアザアという雨の音だけが返ってきた。


「おい……」

「似合わないもん。私なんか、きれいな着物着たって……」