恋口の切りかた

俺は、突然知らされた結城家と神崎家の因縁に動揺した。


殿様の供で何か失態を演じて兄が処分を受けたなど、
家の不名誉になるようなことを帯刀が好んで口にするとも思えないが……

家族に切腹を命じた者の息子に、部下としていいように使われるなど──帯刀にとってはどれほどの屈辱だっただろう。

俺自身、知らなかったこととは言え……


「神崎殿、黙ってても内心これまで、はらわた煮えくり返ってたんじゃねーの?」

隼人の言葉を聞いて、苦々しい思いになる。


「……そいつは恨まれて当然だな」


俺は扇子を閉じて立ち上がった。


暑さのせいだけではない、嫌な汗をかいていた。


「おい、どうする気だ?」

「今から役宅に行って帯刀と話す」

「話すゥ!?」


隼人も慌てたように立ち上がった。


「オイオイ。また何言ってんだよ、このお坊ちゃんは。
やめとけ。それこそヤブヘビってことになるぞ」

「どういう理由で兄が切腹を申し渡されたか、家族なら知ってんだろ。
直接、帯刀に何があったのか訊く」


下役にした者と自分の家の事情を何も知らなかったなど──許されることではない。


「待てって! 落ち着けよ──」


とっとと座敷を後にする俺の肩を隼人がつかんで、



けたたましい悲鳴が屋敷に響き渡ったのは、この時だった。