恋口の切りかた

「逆?」

「当時の奉行所には、晴蔵様の手伝いをして城下に入り込んだ闇鴉の一味の捜査に当たり、一人残らず討ち取れと、そういう命令が『上から』出てた。

しかも、『捕まえろ』じゃねーんだぞ、『討ち取れ』って命令だ。おかしくねーか?」

「それは──確かに妙だな」

「そう思って、当時の家中で起きた出来事も調べてみた。そうしたら──」

「何かわかったのか?」

俺が身を乗り出して尋ねると、

「いや、結局、肝心なことはよくわからなかったんだが……」

と、隼人は歯切れの悪い答えを返してきた。


なんだよ、そりゃ──


俺は身を引いて、再びぱたぱたと扇子を動かして、


「ただ──」と、隼人は強ばった表情で言った。


「盗賊征伐と同時期に、当時の家中で──既に先法家当主として様々な権限を持っていた晴蔵様の命令で、切腹させられている人間が数人いた」


「なに?」

俺はぴたりと扇子の動きを止める。


親父殿の命令で切腹──?


「おい、まさか……」

ここに来た隼人が最初に口にした内容を思い出して、嫌な予感がした。


隼人は、ゆっくりと首肯して、


俺の予感どおりのことを語った。


「切腹を言い渡された者の中の一人が、当時の神崎家の当主でもあった──神崎殿の兄だ」