「可愛いな」

ふふっと笑い声がして、

お殿様の手が、私の肩を抱いて、引き寄せて、

ゆっくりと、布団の上に押し倒された。


私は目を固く閉じて、震えが止まらない手で敷布を握りしめて、


「留玖……?」


私の二つ上だという若いお殿様は体の上から
少し怪訝そうな、それでも私を気遣ってくれているような
優しい声をかけてくれたけれど、

私は、怖くて、怖くて、

これから円士郎ではない人のものになるんだと思ったら悲しくて、つらくて──震え続けた。


寝間着の上から、お殿様の手が何かを探すように私の体をなでて、

襟に手をかけられ、

帯を解かれて──


「やだぁ……っ」


私は我慢できずに泣き声を上げた。




「幸せに、してもらえ」




優しくて愛しい円士郎の言葉が、耳の奥で響いて、

我慢しようとしたけれど、


私に触れる手は、彼の手じゃない。

私のそばにある温もりは、彼のものじゃない。


そう思ったら、