「いや風佳殿、すまんな」

父上は笑いながら風佳に言った。

「この留玖はこんなかっこうをしておるが儂の『娘』だ」


えっ! と、大河様のやや後ろに座った風佳が、きれいな声を上げた。


「まあ、女の方でしたの!?」


「……はい」

男のかっこうをした私が小さな声で答えると、風佳は白い頬を赤く染めた。


「こ……これは大変な失礼を致しました。わたくし、てっきり……」


それから風佳は首をかしげた。

しゃらん、とまた髪飾りが鳴る。


「それでは、漣太郎様は……?」