恋口の切りかた

結城家の娘である留玖ならば教養や礼儀作法も問題ないし、身分も確かで安心だということもあるだろうし、

評判の「おつるぎ様」を奥の連中が物珍しさで手元に置きたがっているだけのような気もするが──


例えきっかけがそうであったとしても、

別式女は、女が家格を抜きにして
純粋に武芸者として認められ、出世することのできる数少ない役職だ。


留玖は、剣術指南など恐れ多いと遠慮していたが、

使いの者の話では、江戸の親父殿にも既に承諾をもらうための文が行っているとのことだったし、

どうも今も隼人の屋敷に通って加那に武芸の指南をしていることまで伝わっているらしく、年若いことも問題ないという強い要望だった。


留玖の腕が認められたということだ。

喜んでやるべきだ。


俺は自分にそう言い聞かせて──


使者には、親父殿の承諾があれば留玖を出仕させると返答してしまった。



自分が女に負けた試合のことを吹聴することはないだろう。

そんな無意識の考えから、


それが、まさか海野清十郎から出た話だとは思いもしなかった。