恋口の切りかた

「──そうか」

「え、エン、あの……」

「お前とはずっと、並んで競ってきたつもりだったのにな」

「え……」

「いつの間にか、俺はおいて行かれてるな」


くそ──何を口にしてるんだ、俺は?

海野清十郎の言葉などで、こんなに心を掻き乱されてどうする?


そう思っても、自嘲的な笑いが浮かぶのを止められなかった。


留玖が泣きそうな顔で、俺の袖をつかんでくる。

ついさっきまでは愛おしかったその仕草までが、俺をイライラさせて──


俺は留玖の手を乱暴にふりほどいて、そのまま道場の出口に向かった。


「エン……!」

か細い留玖の声が追いかけてきたが、無視して歩みを早めた。

このまま彼女のそばにいたら、何を口走るかわからない気がしていた。


外に出る時、

「留玖、こちらへ。他の者も皆、道場から出なさい」

これ見よがしに留玖との差を突きつけるような──そんな虹庵の声が後ろから聞こえて、俺は唇を噛んだ。