恋口の切りかた

やはり……?


眉を寄せる俺の前で、清十郎は冬馬のそばまで歩み寄って肩に手を置き、

「もっとしっかりなされよ弟君。
もしも兄上に万一のことあらば──あなたがこの結城家を継ぐことになるのですからな」

と言って──


「なんだそりゃ!? どういう意味だ!?」

声を上げる俺に冷笑を向け、
蒼白な顔のままの冬馬を一瞥して、

若い家老は留玖のほうを見た。


「この敗北を理由に縁談を断るつもりかもしれんが──留玖、俺はどんな手を使ってもお前をこいつのそばから引き離す」


びくっと留玖の肩が震えて、

「てめえ──!」

俺は怒りのあまり殴りかかりそうになるところをかろうじて踏み止まった。


そんな俺を見て鼻を鳴らし、


「しかし結城家も、養女に道場主の座を譲るようでは剣術指南役の面目も何もないな。

今のままでは、この次期当主殿の腕は完全に妹に劣っている。まったく情けない話だ」


清十郎が放ったその言葉は、俺の自尊心を深くえぐった。

自分はどんな顔をしていたのか──留玖が俺の表情を見て凍りついた。


「おい……」

鬼之介の焦った声が道場の中に響いて、


忌々しい男は俺たちの様子を満足そうな薄笑いを浮かべて眺め、涼しい顔のまま立ち去って行った。