恋口の切りかた

冬馬に?

「構わねーが……」

清十郎が何を考えているのかさっぱりわからないまま俺が頷くと、清十郎は虹庵にもいいかと尋ねて、虹庵も許可した。

刃引き刀ではなく木刀を手にした冬馬と清十郎が向かい合って立ち、打ち合いを始める。

冬馬も体がしっかり成長してきたせいか、ここのところ腕を上げているとは言え、清十郎がこの場で特に稽古相手にしたがる理由はわからなかった。

打ち合う二人の様子からは、
清十郎の稽古相手としては、やはり冬馬ではやや力不足という印象である。


しばらく遠目に眺めてから、俺も彼らの近くへと移動して──


「この程度か」

と言って、清十郎が木刀を引いた。


清十郎は氷のような冷たい視線をじっと冬馬に注いでいた。


「失望させてくれる。同じ流派をほぼ等しい年月学んでも、才能の差はいかんともし難いというわけだ」


俺や留玖と比べているのか、清十郎は冬馬に向かってそう吐き捨てて、


俺は無礼千万なその言いように一気に頭に血が上る。


この野郎ォ、留玖に負けたくせに偉そうに──!

確かに清十郎には劣るものの、冬馬の腕は決して門弟の中でも下のほうではない。


冬馬も何か言い返してやれと思いながら義弟の顔を見ると──


肩で息をする冬馬の顔は真っ青だった。


「おい、冬馬、どうした……?」

俺はまるで血の気の失せた顔の冬馬に思わず声をかけて、


「あなたは……やはり──」


と、冬馬が清十郎を食い入るように見つめたまま呟いた。