恋口の切りかた

頭の中を空っぽにしたまま、

どうやって自分が刀をさばいて避けているのかもほとんど意識になくて、

ただ、向かってくる鋼を擦り抜けて、


肩、
脇腹、
膝、


立て続けに剣撃を繰り出して──


「留玖、お前──」


清十郎の表情に焦ったような色が見えた。


「突きばかり──?」


私の動きを見ていた周囲の門弟たちの間から、驚いたような声が上がって、


身長差を生かして懐に潜り込み、間合いを詰めた状態で低い位置から伸び上がるように

私は相手の隙を真っ直ぐ狙って──


「それまで!」

虹庵の鋭い声で、ぴたりと動きを止めた。


私が手にした刃引き刀の切っ先は、
清十郎の眼球を貫く寸前で止まっていた。


「留玖の勝ちだな、清十郎!」

嬉々とした円士郎の声が道場に響いた。