恋口の切りかた

「────?」

清十郎にも怪訝な表情がよぎって──


何の前触れもなく、
円士郎の鋭い剣撃が清十郎の首筋に向かって繰り出される。



金属のぶつかる硬質な音が響いた。


「貴様──」

予備動作なしでいきなり斬りつけた円士郎の剣を、それでもきっちりと刀で受け止めた清十郎が円士郎を睨んで、

「前に道でやってくれたお返しだ」

と、円士郎が口元に笑いを作った。


私と円士郎が開発して、「村雨」と勝手に名づけた戦法──というか、技だ。


居合いのような完全な不意打ち技なので、今みたいに試合で正対した状態から使うことはあんまり想定していなかったのだけれど。

前に隼人が、城中でいきなり円士郎に斬りつけられたと文句を言っていたから、たぶんその時にも円士郎は村雨を使ったのだろう。


清十郎が力で刀を押し返して、二人の体が離れた。

今度は清十郎が上段から力のある打ち込みをしてきて、円士郎がそれをさばく。


たちまち火花が散るような激しい打ち合いになって、見ている人たちの間から、「おお」とか「ほう」とか興奮した声が上がる。


私は鬼之介の試合の時と同様、清十郎の動きだけに注意して、

自分だったらその剣をどういなし、どう斬り込むか

頭の中で動きを想像しながら、二人の剣撃の応酬を見つめていた。