「いや、アッサリと言うがな、あの男強いぞ?」
「だから気をつけろって最初に言っただろうがよ!」
言い訳をする鬼之介に円士郎は怒鳴って、
「テメエはなんで、心の一方を使わなかったんだ!」
「はァ!? なんでって──」
鬼之介が頓狂な声を上げた。
「貴様がそう言ったんだろうが」
「俺がいつ、そんなことを言った」
「言っただろうが! 今日はボクも鏡神流門下として試合しろと!
心の一方は二階堂平法だ! だからボクも使わずにだな……」
「あれは心の一方を使うなって意味じゃねえ──!!」
ギャーギャーと言い合いをする二人を見て、私は溜息を吐いた。
次はエンの番だけど……大丈夫かなあ……。
鬼之介と清十郎は互いの攻撃はうまくさばいて、怪我をしないように打ち合って──結果、鬼之介が打ち負けて、刀を叩き落とされた。
でも、こういう上品な打ち合いというのは、互いの暗黙の了解のようなものの上に成り立つのであって──
私もだけれど──円士郎は、普段の稽古でもそういう打ち合いはしない。
下手をすれば相手の大怪我に繋がるようなきわどい打ち込みで積極的に攻める。
だから、私も小さい頃は生傷が絶えなかったし、冬馬なんて腕を折られたこともあったし……。
そんな攻め方をすれば、余程技量に開きがない限りは当然、相手も手加減しながら戦うことなんてできなくなるから──
──刃引き刀でそんな試合をすれば、どうなるか……。
清十郎はどうなったって知らないけれど、円士郎が怪我をするのは嫌だ。
円士郎が都築と命を懸けた斬り合いをしたり、
道場破りに来た鬼之介と真剣で勝負をしたり……。
あの頃と今とでは、
私は自分が決定的に変わってしまっているのがわかった。
もう、円士郎が危ない勝負をするのを平然と見ることはできなくなっていた。
円士郎に本気で恋してしまったから……。
円士郎が本当に大切だから……。
「だから気をつけろって最初に言っただろうがよ!」
言い訳をする鬼之介に円士郎は怒鳴って、
「テメエはなんで、心の一方を使わなかったんだ!」
「はァ!? なんでって──」
鬼之介が頓狂な声を上げた。
「貴様がそう言ったんだろうが」
「俺がいつ、そんなことを言った」
「言っただろうが! 今日はボクも鏡神流門下として試合しろと!
心の一方は二階堂平法だ! だからボクも使わずにだな……」
「あれは心の一方を使うなって意味じゃねえ──!!」
ギャーギャーと言い合いをする二人を見て、私は溜息を吐いた。
次はエンの番だけど……大丈夫かなあ……。
鬼之介と清十郎は互いの攻撃はうまくさばいて、怪我をしないように打ち合って──結果、鬼之介が打ち負けて、刀を叩き落とされた。
でも、こういう上品な打ち合いというのは、互いの暗黙の了解のようなものの上に成り立つのであって──
私もだけれど──円士郎は、普段の稽古でもそういう打ち合いはしない。
下手をすれば相手の大怪我に繋がるようなきわどい打ち込みで積極的に攻める。
だから、私も小さい頃は生傷が絶えなかったし、冬馬なんて腕を折られたこともあったし……。
そんな攻め方をすれば、余程技量に開きがない限りは当然、相手も手加減しながら戦うことなんてできなくなるから──
──刃引き刀でそんな試合をすれば、どうなるか……。
清十郎はどうなったって知らないけれど、円士郎が怪我をするのは嫌だ。
円士郎が都築と命を懸けた斬り合いをしたり、
道場破りに来た鬼之介と真剣で勝負をしたり……。
あの頃と今とでは、
私は自分が決定的に変わってしまっているのがわかった。
もう、円士郎が危ない勝負をするのを平然と見ることはできなくなっていた。
円士郎に本気で恋してしまったから……。
円士郎が本当に大切だから……。



