恋口の切りかた

「気をつけな、あいつも俺やお前と同じくらい使うぜ。
留玖の嫁入りがかかってるんだ、負けんなよ」

円士郎は鬼之介にそう言って、

「カラクリは──」

「なしに決まってんだろうが! 今日はてめえも鏡神流門下として試合するんだからな!」

などというやり取りをしてから、


刃引き刀を手に、鬼之介は清十郎と向かい合って立った。

判定には、虹庵が道場の師範代として立ち会ってくれることになっていた。

これもまた他流試合ということになる。

本来ならば真剣による勝負になるところだが──

今回は流派同士の腕試しが目的ではないということと、
万一、私の縁談のせいで死人が出たという話が城下に広がってはさすがに問題だという虹庵の判断とで、刃引き刀での勝負になったのだった。


「始め」

という虹庵の声で、二人が刀を手に睨み合う。


「案外、鬼之介で勝負が決まるかもしれないぜ」

私の隣で、円士郎がそんなことを囁いた。

「何しろあいつには心の一方があるからな」

円士郎はそう言って、ニヤリとして──





「ってテメエ、なにアッサリと負けてんだよ!」

しばしの後、刀を叩き落とされてしおしおと戻ってきた鬼之介に向かってわめいた。