恋口の切りかた

「なに──?」

留玖は俺に、これまで言いそびれていたという話をして、

おひさのことを知らない帯刀と隼人にも、俺は厳重に口止めした上で、自分が毒殺されかかった経緯を簡単に説明した。

「今まで見つかってねえって……それ、海野が匿ってたか逃がしたんじゃねーのか?」

隼人が鋭い指摘をする。

「なら、盗賊改めの権限で海野家の屋敷を調べることはできねーかな」

俺が言うと、「無理だな」と帯刀が首を振った。

「相手は家老家だぞ。
どういう理由をつけて調べる気だ? 貴様の話では、大河様の御息女が罪に問われぬよう、事件自体を極秘としたのだろうが。
それこそ、御家老の時のように暴露されてはまずかろう」

「む……確かにな」

「それに、盗賊改め方は家老の下に置かれた組織だ」

青文が付け加えた。

「俺が失脚した今、家老の屋敷に対して捜査を行うのは難しいな」

駄目か、と俺は嘆息して、


「なあ」

不安そうな声を出したのは隼人だった。


「御家老の正体を知る鎖鎌の兵衛が情報を売った相手が海野で、

俺の屋敷や結城家に入り込んだ国崩しの断蔵とも海野は手を組んでいて、

更に円士郎様の毒殺に関わった女中まで、海野と通じてるのか?

なんだよ、そりゃ……」


言われて、俺も薄気味の悪いものを感じた。


ここでもまた、海野清十郎が絡んでくるのか。


まるで符合のように、清十郎、清十郎……。


これは──どういうことだ?