恋口の切りかた

「オイオイ、そんな馬鹿な話があるかよ」

隼人が引きつった笑いを浮かべた。

「いくらなんでも、そんな殺し屋がいるかァ?」

「断蔵がただの殺し屋なら、確かに馬鹿な話なんだがな」

青文はニコリともしない真剣な目を俺に向けた。

「断蔵が清十郎と手を組んでいると、確かにそう言ったのか?」

「ああ。そうだよな、留玖?」

「うん」

留玖がこくりっと頷くのを見て、元盗賊の家老は舌打ちした。

「クソ、断蔵が関わっているとなると──根本的に考えを改める必要があるな。
そうなると、まさか清十郎の目的は……」

「なあ、どういうこった?」

ボソボソと何やら呟く青文に、俺はいまいち話が見えずに尋ねて、


「仮に──この国が改易となった場合、得をするのは誰だ?」


青文はそんなことを言い出した。


「は? そりゃ、この国の領地が没収になるなら、得をするのはお上か──」


俺はそこまで口にして、はたと言葉を切った。


「オイオイ、まさか……!」

隼人が俺と同じ考えに至った様子で硬直した。


「え? なに?」

留玖がキョトンと俺たちを見上げた。


「こんなのは完全な憶測だ。だが、憶測で物を言うならば──」

青文は重苦しい口調で言って続けた。

「天領として召し上げにならなかった場合、この国が滅べば領地は隣国の氷坂家に編入となる可能性がある」