恋口の切りかた

俺は、同じように生みの親の愛情を失って育った二人の子供──留玖と青文とを見比べる。

清十郎の話は彼らに今、どんな思いを抱かせているのだろうか。


「だからと言って許されるようなことではなかろう」

帯刀が厳しい目と言葉とで言って、

「無論だ」

と、青文は瞑目した。


俺は薄暗い座敷の中で、隼人たちに気づかれないようにそっと留玖の手を握った。

うつむいていた留玖が俺の顔を見上げて、小さな手が俺の手を握り返してきた。


「しっかしその話が本当なら、この国で権力を手にするまで清十郎が猫を被ってるだけって可能性もあるんじゃねーの?」

隼人がもっともな意見を口にする。

「だって氷坂家でのそんな話を聞くとよ、どう考えたって──俺には海野清十郎が正しい心とやらであんたを失脚させたとは思えねーよ」

「そうだぜ。黙って引っ込んでる場合かよ」

俺もそう言って、青文が苦笑した。


「清十郎のことで、こっちもつかんだ情報があるしな」と俺は続けた。

「やっぱり俺には、奴が性根の真っ直ぐな人間とはとても思えねえ」

「その情報というのは?」

尋ねる青文に、俺はあの極彩色の美女を脳裏に描いて口を開いた。


「あんた、国崩しの断蔵って知ってるか?」


青文が双眸を大きく見開いて、白い顔を強ばらせた。