恋口の切りかた

「悪い坊やには、お仕置きが必要でしょう」

完璧な形の赤い唇が吊り上がってそう言って、

「それと、今の二撃をかわせないような男なら、別にどうだっていいからねェ」

「怖い女だな」

清十郎が特に何の感慨もない調子で口にして、軽く肩をすくめた。

「おや」と女の人が雪のような白い手の甲を口元に当てて、優美に笑い声を立てた。

「わかっていてこの『国崩し』と手を組んだんじゃなかったのか」

ふん、と清十郎が鼻を鳴らして、


私を見た。


びくっと、自分でも肩が震えるのがわかった。


「留玖」


私を映す清十郎の目は優しくて、氷のような冷たさはなかった。


「散々弄んでから捨てるつもりだったが、気が変わったよ」


清十郎はそう言って、
それからまた、何かを憎んでいるかのような炎を瞳に宿してこちらを睨んだ。


「結城円士郎のもとからは離れろ。俺はお前を巻き込んで傷つけたくはない」