恋口の切りかた

どうして、そんな目をするの?

そんな目で私を見るの?


私には、この人のことがわからなくて

何の温度もこもっていない乱暴な行為を繰り返された時よりも、何倍も怖くなった。




「俺には、愛情を注いでくれる者など現れなかった……」




清十郎はぽつりとそうこぼして、

悲しそうに笑って、



突然、横手から現れた鋼の輝きが、

私と清十郎を隔てるように清十郎の喉のすぐ下に差し込まれた。


「貴様か」

清十郎が、吹雪のようないつもの声音と目つきに戻って視線を横に動かした。


刀のように大きく反り返った刃から、長く伸びた柄。


「やってくれたわねェ。

女の子を泣かせて自分のものにするエサにこの私を使うなんて、いい趣味ね」


薙刀(なぎなた)を構えて私たちの横に立っていたのは、先程の店で円士郎と一緒にいた、黒い着物の女の人だった。