捨てられた──?


冷たく降りしきる雪に、どんどん体温を奪われる。


私はまた、捨てられた──


「俺のものになれ、留玖」


凍えて動けない私に囁いて、清十郎の唇が私の唇を吸った。


手から、握りしめていた石ころが落ちる。

「やだ……エン……!」

その名を呼んで抵抗しようとしたけれど、

「何を必死に守ろうとするんだ? お前を裏切った男にまだ操を立て続けるのか?」

清十郎が意地の悪い声で言って、金縛りにあったように動きを奪われた。



円士郎に裏切られて、捨てられた──



木枯らしが嘲笑っているように、その言葉が何度も何度も耳の中で渦を巻いてこだまして、

「お前の抵抗に何か意味があるのか?」

そんな風に囁かれて、私の全身から気力と力が抜けていった。


乱暴な口づけを繰り返されて、

胸はちっともどきどきしなくて、

ただ冷え切っていくようだった。


円士郎のしてくれた口づけは火のように全身を熱くしてくれたのに。

何にも感じない。

人形のように突っ立って、
清十郎のされるがままになって、
ただ悲しくて──

私は雪の中でぽろぽろ泣き続けた。