恋口の切りかた

「いくらだ?」

「おや」

ぺろりと、赤い舌が形の良い上等の唇を嘗めた。

「私は高いですよ、エンシロウサマ」



屋敷の俺の部屋に連れ込もうかとも思ったのだが、
女が外に出たがったので、俺はそのまま妖艶な女と連れ立って町の出会い茶屋(*)へと向かった。

何をやってんだと突っ込むなかれ。

この女が盗賊闇鴉の一味の引き込み役かどうか、知るならば一番手っ取り早い方法がある。



八咫烏の彫り物があるか否か。



「全身をくまなく調べたら」すぐに判明すると、俺はまあそう思ったワケだ。


……下心が皆無だったかと言えば、嘘になるが。

そこは、楽しみながら「調査」できるなら一石二鳥というものだろう。


何より相手もその気みてェだし。


とは言え、初対面であまりにあっさりこちらの誘いに乗ってきた女に対して警戒は怠らず、俺は師走に賑わう真っ昼間の町を美女と共に歩いて、出会い茶屋に入った。



(*出会い茶屋:この時代のラブホテルみたいなもの)