恋口の切りかた


 【円】

鳥がついばむようにそっと思いを刻んで、

猫がじゃれ合うように触れるだけのたわむれを繰り返して、


壊さないように、
傷つけないように、
大切に、大切に、

留玖の体を、外側だけ俺のものにした。


それでも、俺が触れるたび震える華奢な体を見ていると、壊れてしまいそうに儚くて怖くて──

少女の体ではなく、張り詰めた大切な何かを
壊してしまいそうで
傷つけてしまいそうで

彼女の全てを俺のモノにしたいという欲望を抑えつけて、決して一線を越えて手を出さず、我ながらよく我慢したと思っていたら、


「全部はしないって言ったのに……!」

翌朝、留玖がこちらの努力も知らず無垢な反応を返してきて、俺は吹き出した。


どうやら留玖は、男女の秘め事が意味するところはおぼろげにしか理解していなかったらしい。


可愛いよなァ。

本当に、誰のものにもなってなかったんだな。


思わず頬がゆるむ。

何も知らず何色にも染まっていない、純粋で汚れのない少女を独占できて、俺は少しだけ満たされた気分を味わった。


それから毎晩、彼女の温もりが決して失われないように、自分の腕の中に閉じこめて眠って──

彼女の全てを奪いたいという思いは日増しに大きくなって、抑えつけるのが困難になった。


わかってたのにな。


彼女の心を俺のモノにしたら、今度は体を、

外側を俺のモノにしたら、今度は内側まで、

支配して、手に入れたくなるに決まっている。


俺は男だから、仕方がねえよな。