恋口の切りかた

「少しだけ俺のものになれ」


私の知らない熱い吐息が胸をくすぐって、


「俺がどんな男なのか少しだけ教えてやるから、お前がどんな女なのかも少しだけ俺に見せろよ」


私の知らないそんな言葉が聞こえて、


「安心しろよ……最後までは──奪わねえから……」


彼が私の胸に口づけを落とした。


「やっ……」


濡れた柔らかいものが胸を伝う初めての感覚に、体が反る。

そんな近くを触れられたら──心臓がおかしくなっちゃう……。


「恥ずかしい……よ……」


必死に体の下の布団を握って、漏れそうになる声を我慢して、私は耐えて──


「そうやってんのも可愛いけどよ」

円士郎が含み笑うような、私の好きな悪ガキの声で言った。

「声、ちゃんと聞かせろよ。もっと恥ずかしいこと、するぜ?」

つうっと、円士郎の指が私のどこかをなぞって、

「やあんっ」

我慢できずに声を上げた。

エンのばか。


やっぱり、エンは……私が知ってるエンだと思った。


大好きなエンだと──思った。


「留玖……」


円士郎の優しい声が、全身の力を奪っていく。


「好きだ……留玖……」


いつも私を救い出してくれたその温もりに包まれて、

私は大好きな人に自分の全部を委ねた。