恋口の切りかた

好き──

エンが、好き──


涙と一緒に私の心も溢れて、こぼれ落ちていく気がする。


唇が離れて、吐息を漏らして目を開けたら、視界がくるっと動いて、

体の上に円士郎の重みを感じた。

布団の上に押し倒されていた。


「エ……エン……」

「寝るって言ったろ?」


私の顔を見下ろして、目の前にある円士郎の顔がクスッと笑った。


「ね……寝るって……」


文句を言おうとしたら、口を塞がれて、

口から顎に、それから少しずつ下へと温かい感覚が落ちていって、

彼の燃えるような吐息が肌にかかって、


「エン……っ」


着物の前を開かれる感じがあって、柔らかいものが胸に触れて、私は震えた。


「悪ィ、留玖。怖いか?」


円士郎が訊いて、私はぎゅっと目を瞑った。


「でも──今日はやめてやらねえよ」


そう言って炎みたいな息をつく彼は、声だけがいつものように優しくて、

稽古の時とも似ていて、
でも違っていて、

よく知っているようで、
けれど知らない人のようで、


ちょっと怖かった。