恋口の切りかた

いい子過ぎるんだよなァ、こいつは。

俺とは正反対で。

留玖がワガママを言うところなんて、女物の着物を嫌がった時くらいしか俺は聞いたことがない。


ときどき、一人でこんな風にとんでもない行動には走るクセによ。


俺は少し苦笑して、抱き締めていた留玖を放して、

叩き落とした彼女の脇差しを拾い上げて、刀身に残った俺の血を懐紙で拭ってから留玖に返した。

「ごめんなさい、エン……私のために、その手……」

止血のためにそのまま懐紙を握っている俺の左手を見つめて、留玖がしょんぼりと肩を落とした。

「大したことねえよ」

俺は微笑んで、

「お前を失わなくて、良かった──」

柔らかい彼女の唇を吸った。


留玖は村の井戸に俺を引っ張って行って、傷口を洗い流して、懐から出した傷薬を塗ってくれた。

細い指が俺の手を撫でて、

「しみたりしない?」

心配そうに留玖が訊いて、俺は笑った。

「くすぐってえよ」

それから留玖は手拭いを裂いて俺の手に巻いてくれて、また心配そうに俺を見上げた。

「ごめんね、エン。まだ痛む?」

そんな留玖が可愛くて、可愛くて──

俺は答える代わりに、もう一度唇を重ねて、留玖の背中と足に手を回して抱き上げた。