恋口の切りかた


 【円】

留玖を失うところだった。

俺は怖くて、怖くて、彼女を抱き締めて、


何者なんだよ、おひさって娘は──!


戦慄を覚えた。


風佳を操って俺を毒殺しようとしただけじゃない。

留玖もここまで思い詰めて、自害にまで追い込むなんて……!


まるで操り屋みてえな真似をしやがって。


いや──


留玖も、風佳も、恋心につけ込まれた。


操り屋ではなくても、同じ女だからできた真似ということだろうか。

女の心に通じていたからこそ、弱みをうまく利用して操ることができたのか──


「エン……」

抱き締めた腕の中で、少女がわななくような声を出した。

「エン、好き」

「おう、知ってるよ」

「エン、そばにいたい」

「いろよ、ずっと」

「うん……」



大切な俺の女は、

それでも俺が欲しい言葉は決して口にしない。


俺の妻になりたいとは、言ってくれねえんだな、留玖──


なあ、俺はどうしたらお前からその言葉を聞ける?

お前の鯉口を切らせることができる?