恋口の切りかた

円士郎はこんな言葉をくれて、

円士郎は私を凄く大切にしてくれて、

円士郎はいつも私のことを守ってくれたのに──




私は──




「留玖、どうしたんだ?」

円士郎が心配そうに手を伸ばしてきて、私は大きく後ろに跳び下がってその手から離れた。

すぐ近くに繋がれていた円士郎の馬が、私の動きに驚いたようにヒヒンと鳴いてぶるるっと首を振った。

「留玖?」

真上に出ていた上弦の月の光に照らされて、困惑した円士郎の表情が見えた。

「お前……そう言えば、どうして年貢とこの村の反乱のことを知ったんだ?
町から血相変えて帰ってきたって──町でこのことが噂になってたのか?」

「……おひさちゃんから、聞いたの」

「おひさ!?」

円士郎の表情が、さっと険しくなった。

「おひさって、いなくなったっていうあの女中か!?」

「……エンが、風佳に毒を飲まされて、死にかかったのはね、私のせいなの」

「な──」

円士郎が一瞬固まって、

「──何だと?」

耳を疑った様子で、聞き返した。

「お前、何言って……」

「私の苦しむ姿が見たくてやらせたんだって、おひさちゃんが言った。
おひさちゃんだけじゃない。風佳だって、冬馬とのことだけじゃなくて、私のエンへの思いを叶えようとしてやったって言ってたんだもん!」