恋口の切りかた


 【円】

「俺と留玖を口封じに殺すかァ?」

腰を浮かした村人たちを眺めて、俺はせせら笑った。

「やめとけよ。今日は俺も二本差しだ。てめえら全員でかかってきても、俺と留玖には勝てねえよ。
それでもやるってんなら──ちょうどいい。てめえらなんざここでなます切りにしてやる!」

「やだ、何言ってるのエン……!」

留玖が青くなって、震えて──



「わしらにどうしろと言うのだ」

この場を取り仕切る立場の者か、留玖と俺が立っている土間から見える座敷の一番奥に座った年輩の男が口を開いた。

「今年は凶作で、こんな時期に税を上げられては困る。
結城家ならこの辺りを治める領主様だ。反乱をやめろと言うなら、あんたこそ国の偉い人にかけ合ってくれ」

「もうかけ合った」

俺が言うと、村人たちは皆息を殺して俺の顔を見上げた。

藤岡とのやり取りを思い出して、俺は肩をすくめる。

「だが、残念ながらどうにもならなかった。母上が言ってもどうなるか──」

たちまち、淡い期待を打ち砕かれて
座敷に並ぶ顔には失望の色が浮かんだ。


「結城家の蔵を解放してやる。それで反乱はやめろ」


その場にいる村人たちと留玖が、驚いたように俺を見上げた。


「それでこの冬、この村には餓死者は出ないだろう。だが結城家も全ての者は救えない、近隣の村とは手を切れ」