恋口の切りかた

「俺は、刀丸を見殺しにしようとして、あれからずっと寂しい思いをさせてきて、今もなお彼女の心を縛りつけたまま苦しめ続けてるてめえらが憎い!」

円士郎は激しい怒りを叩きつけるように叫んだ。

「できることならこの場で全員、叩き斬ってやりてえ」

刀に反りを打たせた円士郎を見て、村人たちが「ひっ」と声を上げた。

「やめて! やめてよ、エン」

私は円士郎の腕を押さえて、円士郎が整った眉を歪めて、優しい目で私を見下ろした。

円士郎は刀から手を離して、涙に濡れた私の頬を撫でて、
それから屋敷の中に座っているみんなを見回した。

「正直、てめえらがのたれ死のうが、反乱を起こして皆殺しになろうがどうだっていい」

円士郎はそう吐き捨てて、私の顔をもう一度見つめて、村人に視線を戻した。

「だが、お前らも蜂起なんて馬鹿な真似はやめろ」

彼は静かにそう言って、

「やめてどうしろって言うんだ」

村人の間からは、先刻と同じ暗く沈んだ声が上がった。

「勝手に取り決めを破って税を吊り上げたあんたら侍のせいじゃねえか」

「おれたちを苦しめておいて、他人事みてえにエラそうに」

そうだそうだと、再び非難の声が起こって、


「俺は役人だ」


円士郎の一言で、また水を打ったようになった。


「俺がこのことを密告すれば、連座で全員磔だ」


彼が言い放った途端、場の空気がぴんと張り詰めた。

私はギクリとする。

明らかにこれまでとは打って変わって、私と円士郎に向けられる無数の目には、生かして帰せないという恐ろしい気配が潜んでいた。