恋口の切りかた

もしも、もしも青文が執政の座にいる時だったら、彼に頼んで何とかしてもらえたのかもしれない。

父上が屋敷にいる時だったら、相談することができたのかもしれない。


でも青文は失脚してしまって、父上は江戸だ。

ううん、きっと──彼らがいたらこんな事態を招くような税の引き上げなんて、初めから行わなかっただろう。


ほんの少しだけ、期待の滲んだ目で私を見上げてくるたくさんの顔に、私は首を横に振った。

「それは……できない」

「ほれみろ」

落胆の溜息が広がって、

「何にもできねえんじゃねえか」

「なんて恩知らずな娘だ」

「生んでもらった恩も忘れて、この恩知らずめ」

村人の非難の視線が全身に突き刺さって、


ほんとだ、と思った。


私、何にもできない。

結城家に拾われて、自分だけいい暮らしをしてるのに、

私は、蜂起を止めることも、みんなの生活を何とかすることもできない。


おひさちゃんに恨まれるのも、きっと当然なんだ……。


自分の無力さを噛みしめて──


「母上に、相談してみるから……」

私は震えながら、小さな声で言った。

「母上は、この国のお姫様だって言ってたから、何とかしてくれるかもしれないから……だから……みんな、もう少し待ってよ……」

私のこの言葉には、集まった村人の間から少し動揺の気配がして、


「ふざけんな! 何が恩知らずだ! てめえらこそ、勝手なこと言ってんじゃねえ!!」


聞き慣れた怒喝がその場に飛び込んだ。